経営者の仕事とは何か、経営者育成とは何か。

この半年間は、クリスチャンになってから、これまでの仕事のなかで続けていくこと、辞めるべきことをしっかりと聖別していく特別な期間だった。その中で、経営コンサルタントとしての仕事とは何か?そもそも経営者とは何か?ということについても深く考えていた。

僕が考える経営者とは、何よりも「仕組みを作る人」であるということ。

「良い心を持って、社会に価値を生み出し続ける仕組みづくり。」

これこそが、僕が経営コンサルタントとして考える、あるべき経営者像だ。

多くの場合、大学教育までの中で、ビジネスの中で「良い心を持つこと」の大切さを教育されることは非常にまれだ。ビジネスとはお金儲けであって、どこかタブーのように感じられ、何か悪いことすらしているのではないか、と考えるのが、わりと一般的なイメージなのかもしれない。

しかしビジネスの本質とは、社会の中に価値を生み出すことであり、それは「良い心」がなければ決して不可能である。

この「良い心を持つこと」の大切さを、「与えることが大事である」という視点でこれまで繰り返し伝えてきたのだが、聖書と、福音、クリスチャニティというファーストベストが明確になったことで、経営者にとって大事なことを、明確に「聖書の御言葉」に基づいて、提示することができるようになったことがこの半年間の大きな収穫であった。このことについて何よりもまず、主にあって深く感謝します。

そして、「仕組み作り」ということについて。これからの時代において経営者育成とは、まさに生涯学習であり、大学(や人によっては高校、大学院といった、その方の最終学歴。この後は、便宜上「大学」とする。)までに学んできたことだけでは、決して社会の変化に対応ができなくなってきた。つまり、学び続けなければならないし、むしろ大学を卒業してからの学びこそ、キャリアや収入に直結していくものであるということ。「学歴社会」が否定されて久しいが、これはパラドキシカルなことだが、学歴社会の終焉は、同時に、生涯学習のスタートでもあるということ。

現在の社会のいびつな構造は、まさにこのかつての終身雇用制をベースとした学歴社会の終焉と、規制緩和による労働市場の流動化と生涯学習のスタート(とそれに対応できていない教育システム)にこそある。

僕はこの問題を教育に携わる者として、仕事柄ずっと追ってきたのだが、こうした今起こりつつある社会のいびつな構造を解決する方法は、一貫性のあるミッション系の価値観に基づく生涯教育にこそあると感じている。長年の経験から、僕の中で、これは非常に確かな感覚となっているし、今後の教育事業の中で中枢に据えられる非常に大事な軸になっていくと思う。

そして、特に経営者育成において、とても大事なことは、そもそも先ほどの定義から言っても、経営者の仕事とは「良い心を持って、社会に価値を生み出す仕組みを作ること」にこそある。つまり、「仕組み作り」のための教育を、生涯学習の中でしっかりと提供できることが、経営者育成における非常に肝心な要(かなめ)となっていくのだと強く感じている。

仕組み作りとは、物事を俯瞰して、抽象的に考えることで、目の前の問題の背景にある本質的な課題に気づき、それを、効果的な方法で、人の手によってではなく、システムの力で解決していくということ。ここで必要な素養は、論理的な思考だけでなく、むしろ直観的に物事を俯瞰する視点、自分自身や自分の事業をメタ認知する技法だ。

僕はこうした経営者育成についてコーチングという技法で経営コンサルタントの仕事をし始めた2013年から、この7年間は取り組んできた。そしてその中でうまくいったこともあれば、うまくいかなかったこともある。

一つに大きな課題として常にあったのが、経営者育成というパラダイムにおいて、コーチングでは実践上不十分であるということだった。マーケティングや、組織作り、コミュニケーション、リーダーシップ、マネーリテラシーなどにおいて、組織化された体系的な知識を学んでもらうためには、やはり1ヵ月の間の中で、2回のコーチングだけでは、知識の伝達は非常に難しいこと。とはいえ、もしこうしたティーチングまでマンツーマンで手掛けるとなると、格段に時間が必要となる。まして日々忙しい経営者にとって、同じ時間と場所に集まってスクーリングするという事業構造は非常に難しく、やはり小回りの利くマンツーマンという形態が最も効果性が高い。事業として考えたときに、知識伝達をベースとするスクーリングを導入するとなると、結果的に少人数やマンツーマンという形式にならざるを得ず、講師である僕自身の人件費や場所代が非常に高くついてしまうため、どうしてもティーチングの分野は本を紹介したり、参考資料を渡したりするにとどまり、必要な知識の獲得については、それぞれに任せることでしか、提供する費用を抑えられないというジレンマがあった。

これらのジレンマは、結局のところ、もともと生涯学習の習慣(つまるところ自己投資の習慣)があり、事業でもすでにある程度成功している人を受け入れることでしか、解決できないという問題があった。

しかしそれでは、「富める者は富み、貧しいものはさらに貧しくなる」という現代社会の縮図そのものであり、倫理的な意味でこのシステムを継続していくことは非常に疑問を抱かざるを得なかった。

しかし、主の恵みというものは本当に素晴らしいもので、こうした7年間にわたる僕自身の焦点を、VRという技術を与えてくださることで、一気に解決できるようになった。これまでどうやっても難しかった「ティーチング」を、VRを用いることで、人件費と場所代をかけずに、何時間でも丁寧に、まるでマンツーマンで実際に会っているかのように伝えることが可能になったのだ。

つまりこれからの事業の軸は、コーチングで提供してきたサービスの枠を大きく超えて、コーチング×ティーチングそして、さらにここにミッション系教育ゆえに可能なお祈り会やシェア会などの、スクーリング(リアルな共同体での学び、他者との出会い)も加えながら、無理なく、僕自身が経験してきた様々な事業ノウハウを、これまでのコーチングと同基準である、低コストで、格段に品質が上がった教育を、継続的に提供できるようになっていくということ。

このことは本当に強い主の恵みだなと実感する。神様にできないことは何もない。このことを半年間経て、やはりしみじみと思うのである。